回路設計エンジニアって?
『回路設計エンジニアとはどんな仕事をしているのか』
『回路設計』という名前から漠然とはわかるけれど、具体的にどんなことをやっているのかわからないという方もいると思います。
一言に回路設計エンジニアと言っても、会社の業種や関わっているプロジェクトによってやることに多少の幅はあると思いますが、自分の経験を例にどんなことをやっているのか挙げてみます。
『設計』だけではないのです!
『回路設計』ですので、一般的に思い浮かべることは「回路を考える、回路図を書く」といった『設計』だと思いますが、こう言った『設計』以外にもやる事は多岐に渡ります。
回路設計エンジニアが行う仕事の一つとして、『評価・測定』があります。
今回は『評価・測定』について、自分の経験を例に紹介します。
(自分の経験談を基に挙げていますので、一般的にはもっとたくさんありますが、数多くいる回路設計エンジニアの一例として見ていただければと思います)
『評価・測定』
お料理をしている時に味見が必要なように、
ものづくりをするときも評価や測定を行って確認することは必ず必要になってきます。
設計も大事ですが、評価・測定も同じくらい大事な部分です。
- 設計したものが正しく動作するか?
- 不具合はないか?
- 不具合があった部分の検証
- 開発した製品の性能や仕様データを残す
- 過去の製品との性能・仕様データを比較する
- 新規開発のために試作品の実験、測定
などなど、評価・測定を行う目的は数多くあります。
私の場合ですが、会社員時代の新人の頃は製品の設計変更を主に行う部署で製品評価や回路測定といったことがメインでした。
わりと測定機器を使ってデータを取ることが苦でなかったのと、モーターなどの物理的に動く物を評価することが多かったのですが、動く物を評価するのは結構楽しいというのもあって評価や測定業務自体は好きでした。(今もいろいろ測定するのは好きです。)
社会人になったばかりのときは設計の「せ」の字もわからないくらいの人間でしたが、評価する製品や回路図とにらめっこしながら、日々測定などをこなしていって少しずつ回路のことを理解して行った感じです。
現在の仕事では設計業務がメインではありますが、今でも試作回路の実験・確認や波形測定などはよく行います。
【具体的な例】
オシロスコープを使った回路の波形測定
- 開発品の回路波形確認
- 新旧の製品での波形比較
- 回路部品の波形確認
- 製品不具合解析で波形確認 など
製品の機能確認
- 入力電流(消費電流)の確認
- 治具や測定器を使った製品機能の動作確認
- 恒温槽(温度や湿度を一定に保てる箱型の装置)を使った高温・高湿時や低温時などの動作確認
回路の熱測定(熱電対を使った発熱部品の測定)
- 熱電対を使って発熱部品(IC)の熱測定 → ICの温度ディレーティング算出など
- サーモグラフィーによる温度分布の測定
長期動作による寿命評価
- 製品の実使用での動作を長期間行い、不具合が発生しないか確認する
- 電解コンデンサの容量確認(一定期間ごとに容量確認し、容量低下具合や寿命時期を確認)
信頼性試験
通常は社内の専門部隊や検査機関で行うことが多いと思いますが、たまにお手伝いで行ったりしていました。
- 耐電圧試験(入力や出力端子と筐体間に一定の電圧をかけて問題ないかを確認)
- 絶縁抵抗試験(製品の絶縁抵抗値を確認)
- 耐ノイズ試験(電源ラインにノイズを注入して誤動作をしないか確認など)
評価レポート作成
会社によって異なるとは思いますが、自分の居た職場では必ず評価を行ったらレポートを作成していました。過去の評価レポートも全て保存されており、過去の測定データとの比較や測定環境の確認などができようになっていました。
などなど挙げればきりがないですが、上記のようなことを行っていました。
今後の糧になることが盛りだくさん
評価業務というとマニュアルに従って誰にでもできる仕事と思いがちですが、
- 他の人が設計したものを見て学べる機会
- 将来、自分が設計する際にどんなことを確認したらいいのかが学べる機会
- 測定スキルが磨ける機会
でもあります。
特殊な測定器を使う場合は、使えるようになればそれだけで立派なスキルになったりします。
個人的な意見ですが、評価業務は自分で1から設計することと同じくらい(もしかしたらそれ以上に)得るものがあると思っています。
(当時の自分は、仕事に忙殺されてあまりここまで考えられる余裕はなかったので、回路設計に参考になるものが沢山あったのにもっと良く見て学んでおけば・・・と今更思うことが多々有ります。。)